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天使の降りた家

天使の降りた家

三度目の痙攣発作・重積

弦ちゃん、また発作を起こしてしまいました。
3度目の痙攣発作です。


きっかけは、月曜の夜中から始まった熱。
実は遥君が週末に熱を出していました。それを貰った様です。

夜寝ようとしたら、咳で激しくむせ込み嘔吐。
一度きれいに片付けて、再度寝かせるとまた、嘔吐。
結局三回に分けて、夕食分を全て吐いてしまいました。

その夜中から39度の熱が出ました。



次の日、熱はやや下がって38度。
朝ごはんを試しに少量あげてみるが、やはり咳き込んで嘔吐。

直ぐにかかりつけの病院で診て貰いました。
インフルエンザ(-)、血液検査も特に変化なし。機嫌も悪くない。
胃腸炎による風邪だろうと、吐き気止めを貰って帰宅。

帰って経管栄養の管を入れました。
前回よりも頑張って4回目の挑戦で胃まで通すのに成功しました。
吐き気止めの薬のおかげか、嘔吐もなくなり、やれやれと思っていました。
熱は相変わらず高かったので、解熱剤を入れました。



容体が急変したのは、夕食の時。
また体温が上がり始めていたので、解熱剤を入れようと考えていた矢先。

椅子に座っている弦ちゃんの顔が、苦しそうに歪んでいました。
「弦ちゃん!どうしたの?」

弦ちゃんは両手を前に出し、力が入っていました。
その手が微かにビクついています。

痙攣発作だ!!


私は直ぐに弦ちゃんを抱きかかえ、お尻からダイアップを入れました。
弦ちゃんのビクつきは止まらず、やがて顔面も痙攣し始め呼吸が乱れ出しました。

今回は3回目というのもあり、頭が冷静でした。
これは時間との勝負。パニックになっている場合じゃない!


まずは痙攣の時間、ダイアップ投与の時間、痙攣の様子、呼吸の確保。
救急車の要請。
そして、はるとの事。

こんな日に限って、いつもはいるお父ちゃんが仕事で不在。
はーくんは夕飯の餃子をパクついている最中でした。
「弦ちゃんどうしたの?」

弦ちゃんがお熱が出て、発作が起きた事、
もうすぐ救急隊のおじさんが来ること、
ばぁちゃん来てくれるから、それまでは近所のお友達の所で待っていること、
救急隊の人と一緒に、ママと弦ちゃんは病院に行くこと・・・


幼い4歳のはーくんに全部説明しました。
はーくんは、「うん!分かった!」と落ち着いていました。


弦ちゃんの目が左方を睨むように意識がなくなり始め、
呼吸が浅くなってきました。
救急隊要請から10分後、救急隊が到着。直ぐに酸素マスクをつけました。
と同時に、痙攣も止まりました。(痙攣時間約18分)


はーくんは、気丈にも救急隊の人の動きをよく見ていて
テキパキと酸素マスクをしたり、胸に器具を装着するのを
じーーっと見て「弦ちゃん、ガンバレ!!」と言ってました。


そのまま、私と弦ちゃんは救急車へ。
はーくんは、ばぁちゃんが駆けつけてくれるまで、
近くに住むママ友のお宅へ急遽預かって貰いました。
(突然の事態にも対応してくれて、本当にありがとう!!)





救急車の中で、弦ちゃんは大きく息をし始めました。
前回は救急車の中で目を覚まし、そのまま元に戻ったので、
私は「あぁ良かった。」と一安心していました。

でも、意識が戻りません。
おかしい。

やがて、呼吸がまた浅くなってきました。
酸素マスクでは空気を吸おうとしないので、手動の呼吸器に切り替えました。




府中の病院に到着しました。
直ぐに集中治療室に入り、バタバタと医師が弦ちゃんを取り囲みます。
「ちょっとこちらでお待ち下さい」と扉を閉められました。

ガランとした部屋で一人。
弦ちゃんの泣き声が聞こえない。
今どうなっているのか、誰も説明に来ない。

意識が戻ると、弦ちゃんは泣くはず。それが聞こえない。
今どうなっているの??・・・。


一時間以上待っただろうか。
「お母さんちょっと来てください。」

部屋に入ると、弦ちゃんが体を異常な程反らして、
苦しそうに足をバタバタさせ手に力がグーーーと入り、
呼吸器を加えている口から「うーーーおーーー」と低く呻く様に声を出しています。

私は、弦ちゃんの意識が戻って、
色んな器具を嫌がりもがいているのかと思いました。

「弦ちゃん!弦ちゃん!ママはここにいるよ!」

弦ちゃんの目がうつろで、焦点が合いません。



違う!
これは意識が戻っていない!
発作だ!!



初めて見る発作でした。
背中を弓の様に反らせ、全身ものすごい力が入っています。
すごい力。苦しそう。

「いつもの様子ではないのですね?」

違います、と言うと
また外に出るように言われました。



また、待合室で一人。
何だったんだ、あれは!

誰も説明に来ない時間がまた、1時間位。
待ち時間がこんなに長く辛いなんて。
「とにかく戻ってきて!!」
不安が頭によぎるたびに、それをかき消し、
ただ心の中で叫ぶように祈っていました。




ようやく担当の先生がやって来ました。

硬直した発作が止まらず、強い痙攣止めを2ステージまで上げたが止まらない。
3ステージ目の痙攣止めを使うが、それは呼吸まで止めてしまう。
人工呼吸器を挿管するが、それでも良いか?

とにかく痙攣を止めなければいけない。
私は承諾しました。



しばらくして、別の先生がやって来ました。

強い痙攣止めを使って、自発呼吸は止まった。
二酸化酸素を吐き出せていなかったので、人工呼吸器で酸素量は安定した。

ただ、薬を切った時に意識が戻るかは分からない。
あれだけの痙攣が続いていたので、後遺症も覚悟して欲しい。
楽観はしない方がいい。

髄膜炎の疑いがあるので、検査をする。
「脊髄から髄液を取る時、脊髄を傷つけるリスクはあるが良いか?」




一通りのリスクを説明され、私は了承しました。
命には変えられません。

とにかく、とにかく、助けて!!




仕事だった主人が駆けつけてきました。
顔を見たとたん、今まで張り詰めていた気持ちが爆発して
私は号泣してしまいました。

弦ちゃんが・・・弦ちゃんが、戻らなかったらどうしようーーー



「大丈夫だ!弦ちゃんは強い子だ。今は、弦ちゃんの生命力を信じるんだ!」
主人が私を叱るように励ましてくれた。

そうだ、今はやるだけの事はやっているんだから
後は弦ちゃんの力を信じなくちゃ・・・と自分に言い聞かせていました。





その後、弦ちゃんは更に麻酔薬も使って眠らされました。
そうでもしないと、手と足にぐーーーっと力が入るのです。

そのまま、神経病院のICUに移動しました。




薬で眠っている弦ちゃん。
よく頑張ったね・・・。


弦ちゃんに色々話かけて、そろそろ別れなくちゃ・・・と思っていた矢先。

弦ちゃんの目がうっすらと開いて、私の顔を見ました。


意識が戻った!!


「弦ちゃん!弦ちゃん!ママだよ!」

私の顔を見て、泣こうとしていました。
呼吸器が入っているので、声が出ません。

でも、しっかりと私とお父ちゃんの顔を見て、分かっていました。
体を動かして、「イヤだ、イヤだ」と言っていました。

やがてまた、ふーーーっと意識がなくなり、眠りに入っていきました。






一瞬でも、意識が戻った。
あの強い薬の中で、戻ってきてくれた。


やっぱり弦ちゃんは強い子だ。
頑張れ、弦ちゃん!!



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